日本の10年国債利回りは24日早朝の東京取引で3.055%まで上昇し、1996年8月以来の高水準となった。投資家はシルバーウイーク明け、夜間に急騰した米国債利回りと円安によるインフレ懸念を織り込み、固定収益市場全体で売りが広がった。
午前セッションの動き
ロイターは、10年国債利回りが8ベーシスポイント上昇して3.055%、30年物は5.5ベーシスポイント上がり4.125%だったと報じた。利回りは債券価格と逆方向に動くため、米10年債利回りが2007年以来の水準に達した後、久しぶりのデュレーションリスク売りとなった。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克剛氏は、円安とともにインフレ懸念が強まり、日本国債利回りの上昇圧力が高まっていると述べた。
株式は二極化した。日経平均株価は連休中の米半導体株高を背景に約0.76%上昇して終えたが、TOPIXは金融株の重さでマイナス引け。AI関連の輸出株は堅調な一方、銀行・生保は割引率上昇を織り込んだ。
日銀の文脈
市場は、米連邦準備制度理事会のマイケル・バー副議長が最近の利上げが追加引き締めの始まりになり得ると示した発言を消化中だ。日本銀行の政策金利1.25%は米国に比べ低いが、長期ゾーンでスティープ化するイールドカーブとさらなる日銀動きが重なると痛みを伴う。
生命保険会社や地方銀行は国債の大口保有者で、30年物利回りが朝一で5ベーシスポイント動けば評価損が膨らむ。変動から固定に振り替えた企業の財務担当者も、上昇が続けば下期予算の借換コストを引き上げる。
為替と輸入インフレ
円はアジア時間に1ドル157.9円台まで小幅に戻したが、中期ベースでは依然として軟調で、日銀が注視する家計へのエネルギー・食料輸入コストを押し上げる。原油は高値圏から緩んだものの中東情勢で依然高止まりしており、東京の国債売りと並行して国内物価指数に圧力をかける。
輸出企業は円安で収益換算に追い風を受け、日経の底堅さの一因となるが、日銀当局者は為替だけで政策を決めないよう警告してきた。24日の債券動向は、国内FXだけでなく世界金利が再び主導権を握り返したことを示唆する。
今後の焦点
財務省の債務管理者は、ボラティリティが来週以降も続く場合、プライマリー・ディーラー経由で入札安定化に動くかどうかが焦点となる。植田和男日銀総裁は今月も発言機会があり、長期金利上昇を正常化の一部として容認する示唆があれば売りは延びうる。当面のブレーキング数字は明快だ。10年3.055%という30年ぶりの節目が、連休明け最初のフルセッションで日本の金融機関にリスク再計算を強いている。
