東京大学は28日、大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授(64)を次期学長に選出したと発表した。1877年の創設以来初の女性学長で、現学長の藤井輝夫氏の任期が2027年3月末で満了した後、同年4月1日から6年間の任期で就任する見込みだ。文部科学大臣の任命手続きを経て正式に就任する。
選考の経緯
学長選考・監督委員会は、事前に公表した基準—高い倫理観、学識、国際的視野、実行力—に基づき、面接、志望理由書、3候補による教職員投票を総合的に評価した。産経新聞によると、教授・准教授・職員による第2回投票では染谷隆夫副学長が1107票、藤垣氏が553票だったが、委員会は「総合的に考慮した」とし、得票1位をそのまま採用しなかった。
共同通信は28日夜、選出を速報で伝えた。日本経済新聞系のNippon.com(時事通信配信)は、藤垣氏が1985年に教養学部を卒業し、2010年から同大学院で教授を務め、学長顧問や副学長を歴任したと報じた。専門は科学技術社会論と科学計量学で、研究政策と大学ガバナンスの接点に位置づけられる。
引き継ぐ課題
東大学長は、日本の高等教育と官公庁・大企業の採用文化において象徴的なポストだ。藤垣氏は、医学系研究科を巡る教員の汚職事件を契機に進むガバナンス改革や外部監視の強化を引き継ぐ。研究者の国際争奪、生成AIを巡る課題提出ルール、18歳人口減少による入試競争の変化にも対応が求められる。
日本の国立大学トップにおける女性比率は依然低く、女性進学率が上がる中で初の女性学長就任は報道各社の注目を集めた。任期6年は慣例どおりで、2027年の創立150年記念行事とも重なる。
この先
文部科学省は、大学側の決定後に学長任命を正式化するのが通例だ。藤垣氏は2027年4月前の記者会見で、国際連携や産学協力を含む優先課題を示すと見られる。投票で染谷氏を支持した教職員は、委員会判断がキャンパス内の士気に与える影響を注視するだろう。いま伝わっている事実は一つで、国内最難関の国立大学が初めて女性を最高職に据えたという点だ。
