ロシアの外交官ナンバーを付した車が、8日午後5時半ごろ、東京都千代田区霞が関の外務省前を通る桜田通りで一般車と衝突し、4人がけがをした。警視庁麹町署は、けが人の意識はいずれもあり、重傷ではないと説明している。

事故は外務省構内を出た直後の直線区間で起き、一方の車は皇居方面へ向かっていた。現場には車両の破片が散らばり、テレビ映像ではタイヤが破裂して中央分離帯に乗り上げた乗用車も映った。

関係者と状況

外交官ナンバーの車には30代のロシア人女性が単独で乗車していた。もう一方の車には20代から40代の男性3人が乗っていた。共同通信によると、60代の男性は大きな音を聞き、近づいて破片が広がっているのを見たと話している。

ロシア大使館は詳細な声明を出していない。外務省は霞が関の施設を利用する外交公務は通常通りだとし、事故の経緯については警視庁の調査に委ねる姿勢を示した。

捜査と外交特権

警視庁は速度や進路変更の再現を進めている。一部報道ではタイヤのバーストが先に起きた可能性が示されたが、当局は断定していない。

ウィーン外交関係条約により、外交官車両は一定の免除を受けるが、日本は交通違反の捜査や大使館との協力要請は可能としている。ウクライナ侵攻や北方領土問題で日ロ関係が冷え込む中、ロシア関連の事故は通常以上に注目される。

交通と安保の文脈

桜田通りは官庁街と都心を結ぶ幹線で、夕方は通勤交通が集中する。警察は約1時間、周辺の車両を誘導した。外務省関係者のけがは報告されていない。

消防と救急隊は現場で手当てを行い、病院側は安定した状態だと伝えている。沿線の交通カメラ映像が、捜査当局に車線単位の情報を提供するとみられる。

通勤者には短時間の混乱にとどまったが、外交使団にとっては目立つ事故である。ロシアとウクライナの公使館が同じ首都で厳重な警備下に活動するなか、外務省前での接触は報道の焦点になった。

原因が明らかになるまで、外交ルートの安全確認と保険手続きが焦点となる。過去の東京での外交官車両事故は、多くが保険と行政手続きで処理され、外交危機には至っていない。

今回も警察は飲酒や故意の疑いを示していない。捜査結果が出るまで、当事者の氏名や詳細な責任割合は公表されていない。