高市早苗首相と片山さつき財務相が財政メッセージを発行抑制寄りに転じたことで、国債ファンドは夏以降で最大の週間流入を記録した。国会が一本化予算案を見る前でも、債券デスクは昨年の成長最優先のスローガンより説得力があると読む。渡辺健司の経済デスクは、各省庁が2027年4月始まり年度向けに過去最大の支出要求を出し続ける中、政権が10年物利回りを近年の数十年ぶりの高水準を下回れるかを見ている。
円債が再び選ばれる理由
株式投資家は過去1年の多くを「高市トレード」に費やし、緩和的な財政が名目成長を温存すると賭けた。その買いは、指標10年国債利回りが日本銀行の長期緩和時代以前に見た水準へ迫り、国内総生産比260%を超える財政に利息負担を押し上げるにつれ薄れた。国内販売会社が集計した投信のフローでは、金曜までの3週連続で国債専用商品がバランス型から資金を吸い上げ、高市氏2025年就任後に見られた株式偏重から逆転した。
トーンの変化は明確だ。高市氏は今月国会で、積極的な支出には財政の持続可能性が前提だと述べ、片山氏もインタビューで新規国債発行を概ね40兆円に抑える方針を繰り返した。一方、各省庁の総要求額は143兆円に迫る。SBI証券などの債券ストラテジストは、入札カレンダーが縮むまで市場は演説を割り引くと指摘するが、それでもデュレーション投資家に押し目買いの理由を与えている。
株式対デュレーション
ジャパン・タイムズは今週、就任1年で高市トレードが見直され、株式のボラティリティが戻る中で債券の魅力が高まっていると報じた。輸出関連は円と米国テックのガイダンスに敏感だが、国債の大口保有者である地銀と生保は、利回りが秩序だった急騰なく安定すれば恩恵を受ける。渡辺は、燃料補助や電力コストの価格転嫁が政治の議題に残るとき、商社や電力もデュレーションでヘッジすると指摘する。
供給圧力は消えない。財務省は依然、残高1000兆円超のロールオーバーに直面する。変わったのは限界の買い手だ。過去の利回り急騰で売った外国のリアルマネー口座は最近の長期入札から姿を消し、片山チームがプライマリーディーラーに事前説明するときの安定要因は、国内の生保と公的年金の組み替えになっている。
ワシントンとコミュニケーションの転換
ロイターは10月初頭の分析で、財政発言の転換の一部を、アベノミクス型のリフレ政策からの脱却を求める米財務省の圧力と結びつけた。スコット・ベッセント財務長官の夏の発言で日本はより高い金利を受け入れるべきだとの論調が続いた。経済再生担当相の城内実氏や、かつて政府パネルでリフレ派の声だった日本銀行副総裁の若田部正純氏も、リフレ局面は終わったと同調している。債券投資家にとっての問いは、防衛・半導体・エネルギー転換への閣僚支出が投資に再分類されるか、それとも経常支出として計上されるかだ。
円債買いを覆す条件
収入裏付けのない想定外の補正予算、計画されている消費税休止後の税収の想定下振れ、あるいは植田和男日本銀行総裁がスワップ市場の織り込みより速く利上げを加速すれば、流入ストーリーはすぐに崩れる。中東の海上リスクで原油が急騰し、株式主導のインフレ取引が戻れば、過去の高市政権下で債券を痛めた相関も復活しうる。
企業の財務担当者にとつの実務的な読みは調達コストだ。コマーシャルペーパーと貸出金利のマージンは国債の動きに遅れて連動する。政権の新しいトーンが長期を10月29〜30日の日銀会合まで抑え込めば、格付けの正式な引き上げがなくても運転資金の借り手には余裕が生まれる。
来月のカレンダー
国会の税制審議と予算編成の窓が、片山氏が143兆円の省庁要求と40兆円の発行公約を両立する資金計画を公表できるかを試す。プライマリーディーラーは、植田氏のバンコクG20でのインフレ容認発言の周辺でボラティリティが上がれば、追加の流動性オペを想定している。渡辺デスクは12月の閣議承認目標前に各省庁説明で項目凍結の言葉が出るかを追う。
要点
債券投資家は日本の財政健全化に勝利宣言はしていない。高市チームがついに入札供給を新しい財政発言に合わせるかどうかのオプション性に金を払っている。発行額が確定するまで、国債への流入は株式疲れへのヘッジであり、債務軌道への全面の信認票ではない。
