今年25番目の台風「ドゥアン」は最大風速約144キロの勢力で21日、東日本に接近。気象庁は伊豆諸島の大島町に土砂災害のレベル5特別警報を、東京・千葉・神奈川・静岡の一部にはレベル4警報を発表した。関東で24時間に最大300ミリの記録的大雨が予想されるなか、避難勧告の対象は160万人を超え、シルバーウィークの帰省・旅行と重なった。

消防庁などによると、千葉・神奈川では大雨による土砂災害で少なくとも1人がけがをし、住宅8棟が損壊。共同通信は、首都圏近郊で住宅が崩れた住民の捜索が続くと伝えた。東京目黒区では高齢者向けに指定校への避難をスマートフォンで呼びかけ、河川の増水に警戒が必要な地区もある。

交通の混乱

日本航空は135便、全日本空輸は140便を欠航。羽田・成田だけで約500便が取り消されたと航空追跡サイトが集計した。東海道方面の在来線・新幹線の一部区間は点検のため運休したが、午前の情報では東京―大阪間の主要新幹線は運行を継続。首都圏近郊で9000戸以上が停電した。

台風の中心は正午ごろ房総半島の勝浦市の南約130キロにあり、北北東へ時速約20キロで進んでいる。中心気圧は約965ヘクトパスカル。気象庁は台風本体の雨帯と前線の雨が重なり、9月の月間平均相当の降水量が24時間で降る恐れがあると警告した。

連休と危険地域

水曜まで続くシルバーウィークで海岸や山岳の観光地は混雑していたが、自治体は屋外イベントの中止や地下駐車場の利用自粛を呼びかけた。横浜や伊豆沿岸では仮設ステージの安全基準を超える風速を理由に祭りが延期された。

大島では全1901世帯がレベル5の対象となり、災害がすでに進行している可能性を示す珍しい一斉警報となった。伊豆諸島のフェリーは複数航路で運休し、高地への避難が遅れる住民もいる。

今後の見通し

気象庁はドゥアンが21日夜に関東沿岸をかすめた後、東へ加速するとみているが、22日も東北太平洋側に雨が残る可能性がある。レベル4が出ている地域では、強制避難指示を待たず河川カメラやサイレン情報を確認し、飽水した斜面での土砂災害に備えるよう求めた。

都内の排水対策が同時多発の豪雨に耐えられるかが試される一方、伊豆諸島では日没前の垂直避難が最優先だ。暖かい海温で活発化した今年の台風シーズンにおいて、21日の情報は被害の大きさが確定する前でも、交通・避難面で最も混乱した事例の一つに数えられる。