海上保安庁は日曜、沖縄県石垣島の北約72キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船「科学」が許可なく海中へワイヤー状の機材を下ろしたと発表した。南西諸島の防衛・警備の要所で、再び海洋調査をめぐる緊張が高まった。
現場で確認されたこと
那覇の第11管区海上保安本部によると、現地時間12時10分頃、「科学」がワイヤーを下ろしているのを確認した。パトロール艇は無線で作業中止を求め、沿岸国の同意が必要な海洋科学調査に関する国連海洋法条約の趣旨と国内法を説明した。
海保は、直ちに作業が止まったか、機材がどれだけの時間海中にあったかは明らかにしていない。接触やけがの報告はなく、現場での無線警告以外の措置は公表されていない。
沖縄が注視する理由
中国の調査船は宮古海峡を通過し台湾東側で活動することが多いが、EEZ内での投下作業は東京の警戒を強める。海底地形や潜航ルートのデータは将来の資源・軍事利用に直結しうる。石垣は尖閣諸島(中国名:釣魚島)に近く、調査行動は技術面と政治シグナルの両方として読まれる。
那覇の防衛関係者は、海保の映像と自衛隊レーダー航跡を突き合わせ、領海外でも長時間滞在する調査船隊の動きを共有している。海保の通達では領海12海里内ではないが、外務省海洋局へ連絡した。
政府の対応
外務省は通常、海保の確認後に書面で抗議するが、日曜夜まで新たな外交抗議の発表はなかった。過去の事例では、閣僚会見の前に大使館の海洋担当経路で技術的な通知が行われることが多い。
野党議員は天候が回復すれば巡視機の増派を求め、単艦対応では広いEEZに隙が生じると指摘している。海保は石垣周辺の警備を継続するが、今週の投入艦数は公表していない。
日本の読者への文脈
この出来事は、岩屋毅前外相率いる大規模経済代表団が北京入りした週末と重なった。高市首相の台湾関連発言以降冷え込んだ日中関係の改善模索の最中だ。沖縄沖の警備事件が貿易代表团を直ちに潰すことは稀だが、両国の強硬派に「調査船は戦略的偵察にもなる」との論拠を与える。
石垣以北の漁場に依存する漁業者にとって、無断のワイヤー投入は網具の損傷や操業制限の不安でもある。漁業協同組合は、海保が航跡の初動整理を終えた後、沖縄県への説明を求める方針だ。
