公正取引委員会は7日、ビール大手のアサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリーに対し、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索に入った。関係者への取材で分かった。
ビール業界を対象とした公取委のカルテル調査は今回が初めてとされる。4社は国内ビール市場の約9割を占め、ビール・発泡酒・第三のビールの卸出荷価格を数年にわたり調整した疑いが持たれている。
当局が見ている点
関係者によると、営業責任者らが定期的に会合を開き、値上げ時期や幅に関する情報を交換した可能性がある。各社は原材料高を理由に小売価格の値上げを繰り返してきたが、当局は並行した卸価格設定そのものを疑っている。
4社はいずれも捜索を受けた事実を受け止め、公取委の調査に全面的に協力する旨のコメントを出した。現時点で行政処分の決定はなく、調査は数か月単位で続く見込みだ。
東京の家計への波及
コンビニのチューハイや発泡酒が若年層の選択肢として広がる一方、居酒屋チェーンや球場の樽契約は春先の更新時期に価格が反映される。カルテルが認められれば、卸リベート構造の見直しが小売価格の変化より先に業界に及ぶ可能性がある。
今年に入ったアイスクリーム大手を対象とした独禁法調査に続き、消費者が値上げの同調を疑ってきた食品・飲料分野で当局が踏み込んだ動きだ。
市場と法手続き
上場ビール各社の株価は午前に売られ、ただし分析家は多くの事例が是正命令で終わると指摘する。検察移送には、価格表の事前調整を示すメールや卸業者の証言など明示的な合意の立証が必要だ。
現時点では出荷や店頭提供は通常どおりとされ、小売各社は特別な停止指示を受けていないと報じられている。公取委が卸価格の共謀を立証できれば、札幌から沖縄までの飲食店がリベート条件の再交渉に直面する可能性がある。
