ロシア連邦保安局がサハリンで北海道新聞の今井優記者をスパイ容疑で拘束したとして、外務省は14日、駐日ロシア大使ニコライ・ノズドレフを呼びつけた。欧州局長の中村公明は、日本政府に十分な説明がないまま日本人を拘束し、一方的な声明を出したことへの強い抗議を伝えた。
ロシア側の主張
保安局は12日、同紙ユジノサハリンスク支局の日本人記者が出国直前に拘束されたと発表した。国営放送にはマスクをした警官がホテルの部屋に突入する映像が流され、記者とされる男性が床に押さえつけられる場面が映った。タス通信は、捜査当局が刑事事件を立て、モスクワの裁判所が勾留2か月を決めたと報じた。
外務省のザハロワ報道官は、日本が公認記者を使って機密を集めていると主張した。北海道新聞は、記者の身元や拘束の経緯を確認中だとしている。同紙は北方領土問題の報道で知られる。
日本政府の対応
外相の茂木敏充は国会で、事実関係の迅速な開示と、拘束が確認されれば人道的・公正な扱いを求めていると述べた。外務省の説明によると、中村局長は記者への迅速な面会を要求し、大使は抗議を本国に伝えると答えた。
日ロ関係は、ウクライナ侵攻後の制裁と、北方四島をめぐる長年の領土問題で冷え込んでいる。サハリンでの日本人記者拘束は、報道の自由と安全保障の両面で永田町の注目を集める。
高市政権への圧力
高市早苗首相は、消費税法案や沖縄近海での中国空母活動を受けた原動力潜水艦の検討など、臨時国会の重要案件を進めている。野党は、日本人がロシアに拘束された状況で政府の対ロシア交渉力を追及する構図になりうる。
在モスクワの日本公使館は面会を要請したが、実現はまだ報じられていない。スパイ容疑の外国人は長期勾留に至る例が多く、公開された釈放要求だけでは進展しないことが過去の事例で示されている。
今後の見通し
外務省は、容疑の具体内容と保安局が示す証拠の開示を引き続き求める。東京の記者団は、今井氏の取材が公認の範囲内だったことを示す情報を求めている。面会が許されない限り、日本政府の手段は外交的なものに限られる。
日本の読者にとっての焦点は、領土問題の最前線にいる記者が、ウクライナ戦争以前から続く対立のなかで交渉材料にされないかどうかだ。
