2011年7月、日本の最高裁判所は、訴状上「X」とだけ記された賃借人に、未払いの更新料7万6千円は依然として支払義務があると告げた。Xはそれまでに更新料としてすでに22万8千円を払い、仕組み全体が消費者保護法に反するとして争っていた。契約書は明確だった。契約が1年ごとに更新されるたび、途切れることのない月額賃料に加えて、賃料2か月分を更新料として借主は負う。Xはその金を返してほしかった。裁判所はノーと言った。
神奈川や千葉で賃貸に住んでいるなら、判決を読むより先にその結末に馴染みがあるかもしれない。2年ほどで「更新のお知らせ」と書かれた地味な封筒が届き、同じ鍵を手にするためにもう一度まとまった金を求められる。玄関の下に差し込まれるその一枚が、この話の反復する物体だ。退去通知でも、家賃値上げの通知でもなく、動かずに住み続けるための請求書である。
すでに22万8千円が消えた
最高裁に至った争いの焦点は、関東の賃貸契約に署名する者なら誰もが、より穏やかな形で見たことがある条項だった。家主は、合意による更新でも借地借家法の自動更新規定による延長でも、借地期間が延びるたびに賃料2か月分を年次の更新料として要求した。Xは年月を経て更新料22万8千円を支払い、入居時に定額の修繕分担金12万円も払ったが、それ以降の更新料の支払いを拒み、返還を求める訴えを起こした。
下級審は、そのような条項が借主を不当に害するかどうかで割れた。2011年7月15日、最高裁判所第二小法廷は更新料条項そのものについて家主側に沿った。未払い残高7万6千円は支払われるべきだ、と裁判所は判断した。
その事件は金額の点で極端だ。毎年賃料2か月分は、関東の通例よりきつい。国土交通省の2007年仲介業者調査では、東京の契約で更新料を取る場合の平均は1か月分だった。調査対象都道府県のうち価格の外れ値は京都で、更新料を含む契約の55.1%で平均1.4か月分だった。最高裁の争いは、法的な問いを切り出すうえで有用だ。法令のどこにも更新料の料率表はない。争点は、契約書の一行がそれでも義務を生み得るかだった。
それっぽい三つの説
多くの借主は、更新料は何か物理的なもののための金だと考える。キッチンキャビネットは15年物、畳は10年分の靴下でへこんだ。1か月分の上乗せは修繕積立のように感じる。特に仲介業者が更新料を経年劣化の補填と説明するときはなおさらだ。
別の人は、隠れた家賃値上げだと見る。在室中の月額賃料は上げにくい。2年に一度の更新料は、いつもの交渉の外に乗る。
第三の説は東京の住宅法そのものを指す。国土交通省が防火設備のように更新料を義務づけたのではないか、という当たり。更新料が契約期間に結びついたスケジュールで届き、公的に見える書式で押印されているので、その説はもっともらしく聞こえる。
三つの説はいずれも真実の粒を含み、仕組みを外す。粒とは、家主が実際にその支払いを収入として扱うこと。外すのは、義務の出どころだ。
国土交通省の2007年仲介業者調査は、2005年4月から2006年3月に締結された賃貸借契約について有効回答175件を基にした、政府が公に示すその慣行の最も広い地図だ。古いが、横浜と大阪がなぜ違うかを説明する際、省庁が今も指す文書でもある。
説①:法律が求めている
政府が平易なFAQで言うことから始めよう。借主が更新料を払う必要があるかと問うと、国土交通省はその料金は法的義務ではないと答える。一部地域の商慣行として存在し、署名した契約書に支払いを求める条項があれば、一般に有効と扱われる。
もう一度読んでほしい。賃貸住宅を監督する省庁は、更新料は法令で要求されていないと言う。執行は引き出しの中の契約書を通じて行われ、「更新料」と題された民法の章ではない。
国土交通省は依然として、契約書にすでに支払条項があれば支払いが期待されると警告する。そこが引っかかりだ。立法者は円の額を定めなかったが、期間満了時に契約書の言葉を起動する更新の装置を組み込んだ。
同じFAQで国土交通省が引用する2011年の最高裁判決が、答えのもう半分だ。消費者契約において更新料条項が明確に書かれていれば、借主に負担をかけるだけでは消費者契約法上無効にはならない。金額が賃料と更新期間に比べて著しく不当でない限りである。その判決以降、更新料を取る地域の標準書式から条項を外す理由は、仲介業者にとって小さくなった。
説②:古いキッチンの維持費
家主自身は、2007年の国土交通省による183人の貸主調査で、より正直な内訳を示す。更新料を取っていると答えた49人のうち、55.1%がまとまった収入を主な理由に挙げ、同じ55.1%が長年の慣行を挙げた。経年劣化の修繕費の補填を理由にしたのは30.6%だけだった。
床が張り替えられないわけではない。更新料は見積もりの修繕請求書のように価格が付けられていない。習慣のように価格が付けられている。東日本の家主が期待するようになった、期間ごと一度の支払いで、すでに部屋の使用をカバーする賃料の上に重なる。
説③:出ていけばいいだけ
より深い法令上の驚きは、多くの借主が意識的に何も「更新」していないことだ。借地借家法第26条は、期間の定めのある賃貸借が、満了の1年前から6か月前までの間にどちらからも申し出がなければ同一条件で更新されたものとみなす。黙ってれば契約は延びる。床に落ちた「更新のお知らせ」は、しばしばその自動延長の簿記に、契約がそこに付けた料金を足したものだ。
定期借家はその計算を変えるはずだった。2000年3月1日以降、家主と借主は更新のないカレンダー上の終期で終わる定期借家契約を締結できる。ただし更新しない旨を正式な契約に書き、書面で説明する必要がある。国土交通省のモデル解説は、期日後も借主が住み続けても、旧定期借家契約は民法の黙示の更新規定の下で静かに転がり続けないと強調する。当事者には新しい契約が要る。
それでも三大都市圏の入居では、普通借家が依然として支配的だ。国土交通省の住宅市場動向調査は、定期借家が長年一桁台の割合で推移したことを示す。2010年度4.1%、2014年度3.3%、同系列では2017年度まで0.9%に下がった。改革は自動更新文化からの出口を作った。新しい借主の多くはそれを選ばなかった。
したがって大多数の世帯にとって実務上の選択は、払うか出るかのきれいな二択ではない。払わずに住み続けるとは、契約上の請求を受け入れるか、法定の申出期間が閉じる数か月前に退去を計画するかのどちらかだ。さもなければ契約はそれ自体で更新される。
転換点:慣行と自動更新
第26条と契約条項を一組として見れば、地域の地図は無作為に見えなくなる。横浜も大阪も同じ国の法律が及ぶ。違うのは仲介業者が標準契約書に何を入れるかだ。
国土交通省の2007年調査(賃貸仲介業者175社)では、神奈川で書かれた契約の90.1%に更新料条項があり、平均は賃料の0.8か月分だった。千葉も同様で82.9%、平均1か月。東京は65.0%で1か月。大阪と兵庫は、調査対象の契約で更新料を取る割合がゼロと報告された。
公的な記録でその2007年の都道府県クロス集計に取って代わる全国表はなく、仲介業者が関東の実務を説明する際に今もそれを引用する理由だ。格差は大きい。神奈川の90.1%対大阪の0%は、同一法令の下で90.1ポイントの開きだ。
更新料は一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当
裁判所の文言は、キッチンのテーブルではなく法廷で争う借主にとって意味がある。更新料を賃料と継続の対価が混ざったものとして位置づける。だから罰金のように見える条項でも、地域の賃料水準と比べて円の額が法外でなければ消費者法の審査を生き延び得る。
契約が本当に終わるとき
定期借家は別のやり方で結び目を切る。契約は印字された終期で死ぬ。国土交通省は家主に、更新しない旨を借主に書面で説明し、1年以上の期間の契約では満了の1年前から6か月前の間に借地が終わることを借主に通知するよう求める。その日付以降に住み続けることは新しい契約の交渉であり、古い更新料の算式を引きずる自動更新ではない。
それが2000年代に一部の法人系家主が定期借家を押した理由だ。空室日が予測できる。世帯にとってのトレードオフは関東の慣行の正反対だ。更新料は避けられるかもしれないが、ゼロから交渉し直さない限り住み続けるデフォルトの権利も失う。
国土交通省の住宅局は今も、まとまった請求、更新料を含む、は商慣行で地域差が出ると指摘する。都道府県が別の法令を置くからではない。2000年の改革は新しい契約の種類を足した。普通借家の更新料を禁止しはしなかった。同じ2007年調査では北海道の仲介業者が契約の28.5%で更新料を報告し、広島19.1%、福岡23.3%だった。「東の慣行」は静岡の境ではなく勾配であることを思い出させる。
床に落ちた案内
下駄箱の上の封筒に戻る。東日本の借主の多くにとって、それは二つの連動した出来事を告げる。法定の期間内に誰も申し出なければ第26条の下で契約は延長されたこと、そして契約の私的条項がその継続の請求を今まとめていること。円の額は署名前にしか交渉できない。その後は国土交通省の指針が明確な条項を拘束力あるものとみなし、2011年の最高裁判決が家主に全国的な後ろ盾を与える。
借主側の弁護士は一方的な条項が消費者を害すると争い続け、料金が法外に高い、説明が曖昧だった事案では時に勝つ。Xに対する更新料条項の基本的な有効性の問いでは勝てなかった。裁判所は7万6千円を帳簿に残した。
案内そのものは依然として紙にすぎない。噛みつくのは、立法者が黙って契約を更新させ、関東の契約書作成者が数十年前にその黙りに1か月分の賃料を留め付けたからだ。大阪でも同じ黙りが契約を更新する。余分な1か月分だけが書式に入らなかった。
