日米は今月の統合演習キーン・ソードで、対艦ミサイルを日本最西端の与那国島に展開する。防衛省沖縄防衛局の計画資料と与那国町の説明によると、米海兵隊のNMESISが同島に初めて上陸する。

防衛局が公表した展開計画では、10月19日から29日まで米陸軍と第12海兵沿岸連隊の約60名が、海兵遠征艦間阻止システム(NMESIS)と海兵短距離防空統合システム(MADIS)を運用する。陸上自衛隊も88式対艦誘導弾、03式中距離地対空誘導弾、輸送ヘリなどを同じ島に配備する。

与那国が焦点になる理由

与那国は台湾東岸から約110キロに位置し、沿岸監視隊や電子戦部隊、拡張された滑走路を有する。中国の海警・海軍の通過が増える海域に近いため、沖縄本島の大規模基地に集中せず、南西諸島に発射器を分散させる訓練が意図されている。

NMESISは海軍打撃ミサイルを無人の軽戦術車両に載せ、狭い海峡での艦船阻止を想定する。6月に戦力化が宣言された。同行するMADISは低空機やドローンに対しスティンガーと機関砲で応じる。

演習で行うこと、行わないこと

日本経済新聞は、与那国ではNMESISもMADISも実弾射撃は伴わず動作確認にとどめると報じた。騒音や道路使用で住民の反発がある島では一般的だが、レーダー照射や空自C-2・C-130による物資輸送など現実的な連携は行われる。

キーン・ソードでは石垣のキャンプにもヒマースが展開され、射程1000キロの新型25式対艦誘導弾など南西諸島全体でミサイル訓練が行われる。Stars and Stripesは、昨年9月のレゾリュート・ドラゴンで石垣にNMESISが展開されたが、与那国には初めてだと伝えた。

東京と北京の反応

中谷元防衛大臣は尖閣周辺の中国艦艇活動と台湾有事想定を踏まえ、南西諸島強化を「急務」と位置づけている。林芳正官房長官は演習が防衛目的で透明性があると説明した。

中国外務省は与那国展開について即時のコメントは出ていないが、台湾に近い地域での日米演習には国営メディアが批判的だ。与那国の住民には道路閉鎖や航空機騒音が予想されるが、町は防衛局の通常手続きで通知を受けたとしている。

演習後の見通し

装備は演習終了後沖縄や本土に戻るが、両国はローテーション展開を基本とし、与那国への常駐は想定していない。一方で奄美や宮古への弾薬庫・掩蔽壕整備が予算化されており、将来のキーン・ソードでも西への展開が続く可能性がある。

高市政権にとっては、防衛指針の更新が離島の実装力を示す場だ。米インド太平洋軍にとっては、宮古海峡が封鎖される台湾危機で必要とされる分散海上戦の予行演習となる。