JR北海道の発表によると、稚内行きの特急「サロベツ」4両編成が31日午後10時50分ごろ、天塩中川駅と樋上駅の間で熊と衝突し、先頭車両が脱線した。乗客32人と乗務員にけがはなく、残り3両は線路上に留まったまま避難誘導が行われた。

事故の経緯

会社側は、宗谷本線の単線区間を走行中に動物が線路に入り込み、先頭車両の台車がレールを外れたと説明した。現場では警察と北海道の担当部署に連絡し、秋から冬にかけて増えるクマの出没情報と照合する見込みだ。脱線した先頭車のみ入換作業が必要で、夜間のため代行輸送はバスで稚名方面へ向かった。

北海道では近年、農地や倉庫に近い線区でクマの目撃が相次いでおり、鉄道事業者は速度抑制や除草の強化を個別に進めてきた。今回の区間もサロベツ原野に近く、完全な線路封鎖は難しいとされる。

ダイヤへの影響

JR北海道は32日朝までサロベツなど宗谷方面の特急を運休とし、幌延から稚名間はバス代行を組み替えた。単線のため対向列車も止まり、貨物列車にも波及した。医療通院などで特急に依存する住民からは、冬季に入る前の長時間遅延への不安の声が上がっている。

会社は運休分の指定席料金等の払い戻し方針を示し、再開見込みはレールと架線の点検結果次第としている。

野生動物対策

道内ではクマ情報を自治体と共有する仕組みがあるが、線路沿いの対策は事業者任せの部分が大きい。過去のシカ事故を受けた視界改善は進んでも、夜間の飛び出しまでは防げないとして、地元議会から速度規制の要望が出てきた。

国土交通省北海道運輸局はJR北海道の報告書を待って追加指示の要否を判断する。新幹線区間のような連続フェンスは宗谷線にはなく、完全排除は現実的でないとの見方が鉄道関係者からも出ている。

利用者への注意

週末に稚内方面へ向かう旅客は運行情報とバス振替時刻を確認する必要がある。現場付近は夜間気温も下がるため、待ち時間が伸びる可能性がある。今回、先頭脱線でも重傷者が出なかった点は幸いだが、後続列車との接触リスクがなかったかはこれからの調査対象になる。

運転士が熊を視認してからの制動距離など、詳細は非公表だ。JR北海道は調査結果がまとまり次第、再発防止策を示すとしている。