日本の書道がユネスコ無形文化遺産リストへの登録に一歩近づいた。政府は5日、審査機関が書道を登録候補として推薦したと発表した。最終決定は11月30日から12月5日まで中国・厦門(アモイ)で開催される政府間委員会に委ねられる。
共同通信によると、審査機関は学校や地域の書道教室、寺社で技術が継承されている点を評価したとされる。登録されれば、和食や能楽などと並ぶ「生きた伝統」として国際的な位置づけが強まる。
登録の意味
無形文化遺産の登録は国内法上の保護を直接生むわけではないが、世代を超えて受け継がれる実践としての価値が国際的に認められたことを示す。文化庁は書道を芸術であると同時に日常の修練として位置づけ、初等教育での筆の学習から成人向けクラブまで幅広い基盤があると説明してきた。
申請書には和紙、墨、筆といった道具の生産地も盛り込まれている。奈良や福井などの産地は、観光や体験プログラムの訴求材料になる一方、手作業の技術維持にもつながると支援者は指摘する。
推薦から登録まで
5日の推薦は最終決定ではない。政府間委員会は諮問機関の意見を採択、差し戻し、否決できるが、推薦後の否決はまれだ。文化庁は厦門会議の運営調整を進め、同じ枠組みで他国の候補も審議されるとしている。
高市早苗内閣は祝賀行事の予定を示しておらず、登録が確定してから青少年向け支援を拡大する方針だ。それでも野党側からは、韓国や中国も文字文化の登録を活用してきたとして、外交・文化政策上の意味を問う声が上がった。
現代社会での位置づけ
スマートフォン中心の生活で書道教室の維持費を削る自治体も少なくない。一方、パンデミック期にオフラインの趣味として関心が戻ったというデータも紹介されている。企業研修で筆を使う集中法を取り入れる例もある。
登録されれば、若い世代への技術継承状況を定期的に報告する義務が生じ、文部科学省もカリキュラム変更を記録する必要が高まる。書道関係者は年末年始の賀状シーズンに向け、厦門での採択を待つ構えだ。
