9月短観は大型製造業の業況が2018年以来の水準だと示した。しかしドルが158円近辺で止まり、輸入品の値上げが毎月棚に反映される限り、その好調が食料品の価格に表れない。

設備投資計画で株が上がり、サービス業は燃料に悲観し、家庭は米や油の負担が増える——この構図は繰り返されている。日銀の9月利上げは正常化のためであり、買い物客を罰するためではない。だが円が弱いままでは、金利正常化のコストが貯蓄者からレジに移る。

製造業はスーパーではない

大型製造業指数は24へ上昇したが、非製造業は35へ低下した。スーパーは後者の側だ。自動車が鉄鋼をヘッジするようにレタスをヘッジできず、円安は数週間で価格に出る。

工場の自信を祝うなら、流通の中小が同じ温度かを問うべきだ。短観の価格拡散指数は値下げより値上げ計画を示す。

為替介入は食料戦略ではない

財務省の警告は投機を一日動かすが、日米金利差が広い限り持続的な円高にはならない。ドル建て小麦のコストは変わらない。

家計救済を本気で狙うなら、金融引き締めと円安定はセットだ。市場が12月利上げを織り込むなら、輸出優先より購買力を選ぶシグナルになる。

スローガン以外の国会の役割

ガソリン税や電気代補助は波を和らげるが、財政の包帯に留まる。物流の競争や中間マージンの透明化、低所得者への集中支援が重要だ。

防衛費をめぐる対立があっても、生活費指標を予算審議に入れる野党の圧力は妥当だ。円政策なき短観自慢は、持たぬ株価の話に聞こえる。

私たちの見方

必要なのは弱い景気感ではなく、工場の強さを安定価格に変える政策ミックスだ。日銀と財務省がそこで一致するまで、短観の好調は会議室の話に終わる。