NTTドコモは水曜、秋から予定していた消費者向け衛星―スマートフォン直通の実証を延期し、低軌道試験シェルに関する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の接近予測を踏まえた社内デブリ審査が完了していないと説明した。屋外SOS試験は2027年初頭までずれ込み、春の説明会で示したハイキング向けオーバーレイは当面提供されない。

試験の内容

総務省が非地上網試験用に割り当てた周波数を使い、携帯基地局が止まった際に提携衛星バス経由で短い緊急文を送る構想だった。7月の法人向け資料では、北海道と沖縄のドコモ店で販売する堅牢端末にベータ表示を付ける案が示され、台風でマクロサイトが数日停止する地域を想定していた。

公開資料では衛星事業者名は出ていないが、規制添付書類には600km級傾斜角帯が記載され、商用メッセージング星座と帯域を共有する。LTEから衛星ベアラへ切り替え、空を向かずに使えることが製品上の差別化点だった。

デブリ審査の意味

JAXA宇宙デブリ室は8月、2024年の破砕で追跡された破片が試験シェルの近地点引数に近づくシナリオを更新。ドコモの安全委員会は、パートナーが衝突回避運用を文書化し、地上端末の放射耐性試験をシルバー週前に終えるまで停止を求めた。サポート体制が薄い期間に本番トラブルを避ける狙いもある。

関係者によると差し迫った衝突ではなく保険と手続きが焦点で、海上・航空当局は緊急ビーコンを衛星リンクに載せる前に署名済み書類を求めた。ドコモの声明は「国の宇宙安全ガイダンスとの整合」を強調し、商用試験にデブリ監視の接続を示す際のJAXAの言い回しに合わせている。

競合と端末

楽天モバイルやKDDIも非地上網実験を進めるが、多くは固定無線バックホール向け。ソフトバンクのHAPODは都市上空の成層圏プラットフォームが中心。延期は業界全体を止めないが、GlobalstarやSpaceXと組む米キャリアの衛星テキスト宣伝に話題を譲る。

国内端末メーカーは2026年旗艦に二系統RFを載せ、秋の試験でテストベクトルを得る想定だった。端末は出荷するが、衛星プロファイルは新スケジュールまで無効のままだ。

自治体と残作業

ドコモと覚書を結んだ自治体の防災担当は、もう一冬は倉庫の衛星電話に頼る。静岡・高知の消防は171連携ドリルを地上のみに変更する可能性がある。経産省は週報で延期に触れ、台風本番で失敗する試験より審査を優先する姿勢を示した。

端末がサーバーに頼らず通過を予測する暦データ更新、樹冠下での送信電力認証、12月にずれた侵入試験など技術課題が残る。料金は未決定で家族向け安全プランへの月額上乗せが示唆されている。紅葉ハイキングの携帯は充電を忘れず、ドコモの衛星SOSは審査完了まで待つ必要がある。