ソフトバンクグループは今週、ソフトバンク・ビジョンファンドが保有する生成AI系未上場株の一部について、企業導入が2024〜2025年の投資時想定より遅れたとして簿価を引き下げた。関係者によると、四半期評価委員会での時価修正であり、即時の現金損失ではないが、10月の東京向け投資家説明会前に報告純資産価値(NAV)を押し下げる。

どの評価が動き、なぜか

少なくとも4社の後期AIインフラ・垂直型コパイロットが、パイロットから本番移行に紐づく経常収益目標を未達とし、IFRSの公正価値で調整が必要となった。個社名は中間更新では出ないが、基金レターは規制業界向けGPUオーケストレーションの「販売サイクル長期化」に言及していた。

円安でドル収益の物流・フィンテックの上方修正が一部相殺したが、ビジョンファンドI・II合算NAVは6月時点比で中一桁%の純減となった。AI銘柄の上場SaaSが8月に弱い推移を示し、外部ベンチマークになった。

Armがバランス要因

投資家はArmホールディングスのライセンス収益を軸に株価を見る。9月のADRは未上場AIバスケットより安定し、連結NAV per shareを支えた。孫正義氏はArmがベンチャー変動の構造的ヘッジだと述べる。今回の未上場修正はArm持分比率を変えないが、グループ内AIが同じペースで複利化するというメッセージは複雑化する。

東京開示と金融庁の視点

東証上場のソフトバンクは金融庁の継続開示基準下にある。未上場基金の時価は派手な減損ほど目立たないが、機関投資家は自社株買い・債発行の手掛かりにする。円建て社債は流動性プレミアムがあり、NAVの揺れは短期でCDSスプレッドを広げうる。

大手町の運用会社は11月決算でビジョンファンド損益行の内訳を期待。9月の修正は紙上の調整だが、ソフトバンク株担保融資のリミット計算に入る。

資金調達とLP

ビジョンファンドIIのLPには予備評価パックが届いた。一部の政府系ファンドは2027年キャッシュ需要とAI燃焼率のシナリオを求め、グループは計算クレジットと紹介で応じ、今四半期のキャピタルコールはないと説明した。

東京・ロンドンの基金員は、請求済み契約がある企業へシフトしており、今週の時価修正と整合する厳しいマイルストーン融資姿勢を反映する。

市場反応

自社株はNAV押し下げ幅より小さく下落し、AIナラティブの織り込みは既に割引済みとの見方。TOPIX連動年金はボラティリティ枠扱いで強制売りは報告されていない。

11月説明会後に備えたコールオプションの出来高が増え、Armと自社株買い論が未上場修正を上回るとのベットがうかがえる。

11月までの注目

10月のエンタープライズ更新成約が追加修正の要否を決める。今期の債務満了は管理可能だが、日銀・FRBの金利差に敏感な円調達コストのCFOコメントも重要。

現時点ではB2B AI導入の遅れに会計が追いついた話であり、東京屈指のベンチャー基金の投げ売りではない。紙の痛みはあるが、流動性とArmがクッションだ。