シルバー週の混乱をクーポンでごまかすのはやめよう。JR東日本の東北・上越向け「オフピーク」割引は親切に見えて、同時多発の帰省ピークに対して運力不足を価格問題のように扱っている。敬老の日の前に必要なのはまた一段の値引き劇場ではなく、ピークの正直な分散、需要を無視しないメンテ日程、金曜夜に東京を一斉に出ようとしない動線だ。

クーポンは座席を生まない

マーケ部門は設備投資なしに売上を動かせる券が好きだ。日曜昼の1割引はもともと空いている列車に効く。土曜早朝のはやぶさ指定席がSmart EXで90秒で消える問題には無力。政治家がバナーと共にポーズを取っても、値下げは移動権ではない。

指定席がゼロのとき、限界の旅行者が求めるのは安さではなく席だ。臨時編成で席を増やすピーク料金なら払う。割引は少しマシな時間帯へ余暇客を誘導するだけで、実家の高齢者を訪う人と同じゼロサム競争に放り込む。

メンテと祝日の物理

9月中旬の上越線工事は、敬老の日と秋分が重なる需要ピークと直撃した。安全のメンテは譲れないが、カレンダーは政策選択だ。東京駅のプラットフォーム潰しの後に運賃キャンペーンで「支払意欲」の問題にすり替えるな。

予約アプリがストレスを増幅

Smart EXは深夜更新に強い層を優遇し、スマホを持たない高齢者は二重に不利。クーポン統合は価格狩りに注意を向け、8両か16両かの事実を隠す。航空との競合を理由に編成を非公開にするなら、割引がビジネスの中心のままだ。

本当に効く策

上野・大宮に連休テンプレの臨時セットを置く。公務員の休みを分散し金曜ピークを削る。ホーム滞在時間を短縮して実効運力を上げる。クリニック付き添いなど証明できる需要だけに支援を向け、SNS週末客向けフラッシュセールにしない。

航空競合は言い訳にならない

新幹線利用者は都心間の信頼性を買っている。幼児を抱えて立ち席までが限界で、1割引の未使用ではない。航空が季節便を増やすように、国交省が臨時編成を例外書類ではなく容量として扱えばよい。

政治家は割引を褒めるな

「観光支援」のQR撮影は誤診だ。有権者が欲しいのは安い不満ではなく、就寝前の到着だ。地方票向けなら、高齢化地域にサービスする線の座席キロ増を数値で求めよ。

JR東はクーポン劇場を引退し、追加車両・メンテシフト・正直な満席表示を先に示すべきだ。